サラリーマン農家のblog

農業法人に勤める人のブログです

農業を管理会計で考える

こんばんは。

まー君です。

 

今年一年本業が忙しくなり、ブログの更新がだいぶ減ってしまいました。

本業が忙しいこと自体はありがたいので良いのですが、やはり日々作業だけやっているとアウトプットの機会が減ってしまうのは良くないと思うので、来年もやれる範囲でブログを更新し続けていきたいと思います。

 

今回は管理会計の本を読んだので、それを農業に当てはめて考えてみたいと思います。

 

管理会計の基本 この1冊ですべてわかる

管理会計の基本 この1冊ですべてわかる

 

 これ読みました(特にアフィリエイトとかではないです(^_^;))。

 

まず初めに、経費を変動費と固定費に振り分けます。

簡単に言えば

変動費とは売上に応じて変動する経費

固定費とは売上と関係なく発生する経費

です。

この振り分けが簡単なようで意外と難しいのですが、農水省のデータは

http://www.maff.go.jp/j/wpaper/w_maff/h18_h/trend/1/other/f2-26.xls

変動費:種苗等、肥料、農薬、諸材料、雇用労賃のこと

固定費:農機具、建物、賃借料等、土地改良等、家族労働費(法人であれば社員の人件費とする)、小作料、租税公課、負債利子、企画管理、雑費のこと

としているので、今回はその前提で書き進めます。

また、この本には変動費は商品に付加価値をつけないもの。固定費は商品に付加価値をつけるものと書かれていました。農業であれば原材料といえる種・肥料・資材を人・土地・機械を活用して作付・管理・収穫すること付加価値つき、農作物という商品になり、その価値が高まった分だけ収益になるということです。

そして、

売上ー変動費=限界利益です。

例えばお米1kgの売上が250円。変動費が50円とすると、限界利益は200円となります。

そして、固定費が6000万だとすると、お米を300t売れば収支トントンの損益分岐点に達するという計算になります。

損益分岐点=固定費=限界利益となる金額です。

計算式としては

損益分岐点=固定費÷限界利益

です(限界利益率=限界利益÷売上高)

例えば上記の農水省の表の7~10haの場合

損益分岐点=670.9÷0.827≒811万円となります。

お米が1kg250円とすると、おおよそ32.5t販売できれば収支トントンです。

お米の反収は500kg位とすると、6.5haくらいの面積が必要となります。

面積が8haとすると、1.5ha分の売上が利益となります。

現状、損益分岐点をどのくらい売り上げが上回っているかという指標が損益分岐点比率で、損益分岐点比率(売上に対する損益分岐点の割合)=811÷1051=77.1%

となります。

 

こうした考え方が身につくと、自分の手取りをどうするか、機械を購入すべきかどうか、農地を広げるかどうか、人を雇用するかどうかの判断を客観的にできるようになってきます。

 

例えば、上記の農家さんが10haに規模拡大し、その際1人雇用したとします。

すると固定費が670.9万→1000万になったとします。

損益分岐点=1000÷0.827≒1209万

売上=100(反)×500kg×250円=1250万(反収500kg,単価250円は想定)

損益分岐点比率1209÷1250≒96.7%

となり、かなり収益を圧迫します。

そのため、今の人員でもやれるなら雇わないという判断もできます。

しかしながら、固定費は価値を高めるものなので、人を雇用したことで他の作物を作る。稲の育苗を自分でやることで他の経費を下げる、刈り取りの委託をして売上を増やすなど、他の仕事を行うことで売上(付加価値)を高めることにつなげるというのも判断になります。

なお、1000-670.9=329.1(雇う人の人件費)

329.1÷77.1%(損益分岐点比率)≒427万(必要な限界利益

427÷82.7%(限界利益率)≒516万(必要な売上)

516万円の売り上げを増やせれば利益率を減らさずに雇用することができます。

 

また、売上の増加分、固定比率を変えずに人件費を増やすのであれば

1250万円×63.8%(以前の固定比率)≒798万円

798-671(以前の固定費)=127万円

となり、127万円人件費として使うことができます。127万だと常時雇用は出来ないので季節雇用を行う。もしくは委託で作業してもらうなど考えることができます。

 

以上のように、判断を客観的にするために会計管理の勉強をしておくと仕事ができる風の男になれます笑。まだ私もそのレベルにはなっていないのですが、農業以外でも役に立つので勉強していきたいと思います。